国土交通省は、平成8年から全ての橋梁新設工事にあたり、コンクリート構造中の配筋状態およびかぶり厚さを測定することを義務付けました。測定方法には大きく分けて、電磁波レーダ法と電磁誘導法があり、コンクリートの構造によって用いられる方法が異なります。
電磁波をアンテナからコンクリート内に放射し、コンクリート内の鉄筋や非金属管や空洞などから反射して返ってきた電磁波が受信アンテナに受信されるまでの時間を使って、反射物体までの距離を算出する方法です。
コンクリート構造物を壊さずに、内部の鉄筋や電線管などの位置の探査や配筋状況の調査が可能です。
電磁波レーダは周波数を高くすれば分解能が高くなり高精度な検査が可能ですが、深い部分の測定ができなくなります。
逆に周波数を低くすれば深い部分まで測定可能ですが、精密検査には不向きになります。
金属と非金属は、結果の波形で判別することができます。
比誘電率(物質の誘電率と真空の誘電率の比)は、物質ごとにおおよその範囲が決まってます。電磁波の速度はその媒体固有の比誘電率に影響され、電磁波レーダ法は、コンクリートの水分量や品質等に影響を受けやすいため、比誘電率をキャリブレートすることで鉄筋かぶり厚の精度を高めることができます。
電磁誘導法より精度面は落ちますが、かぶりが厚い場合には有効な手段です。
電磁誘導法とは、電圧の変化を測定に利用した方法です。
コイルが巻かれたプローブに一次交流電流を流すと、交流磁場が発生します。
その地場中に鉄筋が存在した場合に生じる二次電流から、発生した電圧の変化を把握し、コンクリート中の鉄筋位置、かぶりなどを評価します。
コイルの電圧の変化は、鉄筋の径・寸法やコンクリート表面からの距離により変化します。
この関係を利用して、鉄筋のかぶり、位置あるいは鉄筋径等を評価します。
鉄筋位置は、プローブコイルに誘導された電圧がピークになった位置の直下にあると判断し、鉄筋のかぶりは、出力電力と、かぶりの検出曲線をもとに推定します。
電磁誘導法で鉄筋位置及びかぶりを測定できるのは、一般に鉄筋径が6mm以上の場合で、かぶりが10~200mmの範囲です。
鉄筋位置とかぶりの測定が同時にでき、コンクリート表面の影響を受けません。
コンクリートの水分量や品質等による影響を受けないため、電磁波レーダ法と比較して高い精度の測定を行うことができます。
電磁誘導法は、かぶりが比較的浅い場所では非常に有効な手法で、浅ければ浅いほうが分解能も良く、確実な探査および測定が可能です。
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